コラム

内縁配偶者や事実婚パートナー、同性カップルの相続権について

日本でも、東京などの都市部に限らず全国的に、法律婚ではなく事実婚を選択するカップルや同性のカップルが増えてきました。

ただ、実質的には夫婦同様の関係にあるものの婚姻届は出していない内縁配偶者や事実婚パートナーについては、法律婚をしているパートナーと違って、相続権がありません。

また、判例では、「死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産精算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところ」として、死亡によって、内縁配偶者や事実婚パートナーが財産分与による財産を取得することも否定されています。

同性カップルについても、現在の法律では婚姻をすることができませんので、法律上の婚姻関係ではなく法定相続人としての配偶者にはあたらないため、相続権はないということになります。

内縁配偶者や事実婚パートナー、同性カップルの相続対策について

上述のように、内縁配偶者や事実婚パートナー、同性カップルには相続権はありませんので、自分が亡くなった後に、その財産を相続させるためには前もってなんらかの対策をしておかなければなりません。

代表的な方法としては、遺言書を作成しておくことが考えられます。

遺言書によって、そのパートナーに財産の全部または一部を遺贈するとしておけば、パートナーに相続をさせることが可能です。

その他にも、生命保険契約を締結し、その保険金の受取人としてパートナーを指定することが可能な場合もありますし、受託者との間で信託契約を結び、自らの死後にはその信託財産がパートナーに渡るようにすることも考えられます。

内縁配偶者や事実婚パートナー、同性カップルの相続対策での注意点

内縁配偶者や事実婚パートナー、同性カップルの相続対策をするうえで、注意すべき点もあります。

遺言書を作成するうえでも、遺言者に他に法定相続人がいる場合や、その法定相続人が遺留分権利者でもある場合などについては、相続で揉めないために、その権利への配慮が必要なケースがあります。

また、生命保険契約を結ぶ場合にも、法律上の親族でない者を受取人に指定するためには、それぞれの保険会社での審査が必要な場合があります。

信託契約を結ぶ場合にも、その内容を十分に考えて作成しないと、予期しなかった落とし穴があるおそれがあります。

あとがき

コラム執筆担当者である私は来月で35歳、持ち家と投資用の家を購入しておりますが、独身であり、あまり結婚欲がありません。正直、結婚というものは重過ぎると思っている節があります。パートナー、茶飲み友達でいいやと思っているタイプです。

ですので、今回こういうコラムを書いてみましたが、日本はまだお堅い部分が多いです。今後は、そういう人が増えてくるでしょうから、問題になる前に、法整備が必要であると感じた次第です。

私のような独身の場合でも、相続については、事前に考えておかないと、国にとられるか、ほぼ他人のような人間にみすみす資産を手渡すことになってしまいます。やはり、公正証書遺言を作成しておくことが一番良いかなと感じる次第です。