コラム
不動産取得税について
不動産取得税は、不動産を取得した際に課せられる地方税です。住居用・事業用を問わず、さまざまな土地や家屋が対象であり、取得時に一度だけ納める必要があります。不動産取得税が課せられる不動産の例は、次のとおりです。
●土地:住宅地、田・畑、山林、池沼など
●家屋:住宅、店舗、工場、倉庫など
不動産取得税が課せられるのは、上記の不動産を購入・贈与・新築・増改築などにより取得した方です。
相続によって不動産を取得した方は、不動産取得税は課せられません。それ以外の売買、交換、贈与、建築には課せられるものになります。不動産取得税の税率は原則として「固定資産税評価額×4%」ですが、取得した不動産の種類や、軽減措置の適用の可否(軽減措置を受ければ3%)によって異なります。
不動産取得税の軽減措置について
●新築住宅を取得した場合
新築住宅を取得した場合は課税標準から1200万円の控除が受けられます。要件としましては床面積が50㎡以上240㎡以下となっています。つまり、小さ過ぎず、大き過ぎない、普通の新築住宅であれば、控除が受けられます。1200万円の控除ですので、こちらに3%をかけると36万円もの税金をカットできることになります。
●中古住宅を取得した場合
中古住宅の場合は、控除額が建築時期によって変わってきます。
昭和29年7月1日から昭和38年12月31日までは100万円
昭和39年1月1日から昭和47年12月31日までは150万円
昭和48年1月1日から昭和50年12月31日までは230万円
昭和51年1月1日から昭和56年6月30日までは350万円
昭和56年7月1日から昭和60年6月30日までは420万円
昭和60年7月1日から平成元年3月31日までは450万円
平成元年4月1日から平成9年3月31日までは1,000万円
平成9年4月1日以後は1,200万円
以上の控除が受けられます。
●土地の場合
住宅用の土地の場合は課税標準の控除ではなく、税額の控除となっています。
税額控除額は45,000円かもしくは土地1㎡あたりの価格✕1/2(令和6年3月31日まで)✕住宅の床面積の2倍(200㎡が上限)✕3%のどちらか多いほうが税金から控除できます。
要件としましては、まず上記の建物の要件を満たしている土地であるということです。
・新築住宅の土地の場合
新築の3年以内の取得した土地、新築後に土地取得の場合は新築から1年以内が新築の土地を取得した場合の要件となっています。
・中古住宅の土地の場合
土地取得後1年以内にその上に建つ中古住宅を取得している、住宅取得後1年以内にその土地の取得をしているというのが中古住宅の要件となっています。基本的には中古住宅の場合は、土地も建物も同時に取得することがほとんどですので、問題ないでしょう。
軽減措置の要件
個人が自分の居住用として取得した住宅床面積50㎡以上240㎡以下で昭和57年1月1日以降に新築されたもの、またはそれより前に建てられたものは、新耐震基準に適合していることの証明(要件あり)がされたものとなっています。基本的には昭和57年1月1日以降に新築されたもので、自分のために買った普通の住宅は、該当します。
軽減措置の申告期限
不動産取得税の軽減措置を受けるための申告には期限が設けられています。必要書類は新築については不動産取得申告書、土地と建物の登記事項証明書のコピー、中古住宅の場合はそれにプラスして住民票が必要です。住宅や住宅用土地を取得した日から60日以内に、上記の書類を提出することとなっています。
しかし、この軽減措置の申告を知らなくて、申告していない方もいらっしゃるでしょう。その場合は、納税した取得税の還付を受けることができます。上記の書類にプラスして不動産取得税還付申請書が必要です。
不動産取得税支払のタイミング
不動産取得税を支払うのは、不動産取得税の納付書が届いてからです。不動産取得の申告を終えると、早ければ1か月~3か月、一般的には半年~1年程度で不動産取得税納税通知書が届きます。不動産取得税の支払いには、納税通知書に同封されている納付書が必要です。不動産取得税の支払い期日は納付書に書かれており、目安は納付書の到着から数週間~1か月以内です。
あとがき
コラム執筆している私は、かねてから、衣食住という人間生活に必須のものである住宅の取得に税金がかかるというのは、どうも納得がいっておりません。確かに、傍から見れば、家や事務所などを買えるほど裕福であるという話であり、その前提にのっとった課税ではありますが、不動産を現金買いできる人というのはよほど安い価格以外は少数であり、ほとんどの人が銀行融資で頭金を入れてという話になるはずだからです。また、いつまでも賃貸というのも、老後を考えれば不安です。
マイホームや事務所を取得すれば、毎年固定資産税を支払うことになるにもかかわらず、一度だけとはいえ、さらなる上乗せで、しかも忘れたころにやってくるというのが非常に厄介だなと感じる次第です。